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経済

セコムがインド病院事業で「大火傷」

「日本流」医療は見向きもされず

2014年4月号

 警備保障大手のセコムが三月一日、インド南部のIT都市バンガロール(カルナタカ州)で病院事業への参入を果たした。開業した「SAKRAワールドホスピタル」は、病床数二百九十四床、脳神経、心臓、腎・泌尿器など六つのコアセンターのほか、十七診療科を誇るれっきとした総合病院だ。セコムの一〇〇%子会社「セコム医療システム」と豊田通商、現地キルロスカグループによる共同運営だが、このキルロスカグループとは、トヨタ自動車がインドでの乗用車生産で合弁を組む地元中堅財閥である。

「高度先進医療」と「日本流のきめ細かな医療サービス」を謳い文句に、「今後十年以内にインドで二万床まで事業を拡大したい」(セコム関係者)と強気の目標を掲げるセコム。だが、開業から一カ月が経過したが、患者数は来院、入院ともにまばらで院内は閑散としている。公表数字も患者数は外来一日二百人、入院五十人(二月末時点)と控え目ではあるが、「実際はさらにその四分の一以下。医師や看護師は手持ち無沙汰状態」(日系自動車部品会社駐在員)だという。

営業戦略上ありえない選択

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