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「アルジャジーラ」が消える日

サウジの「逆鱗」に触れたカタール

2014年5月号

 ムスリム同胞団を支援しては、近隣アラブ諸国の存立を脅かす挑発行為をやめないカタールに業を煮やし、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンの三カ国が、それぞれの駐カタール大使を召還すると発表したのは三月五日のことであった。その衝撃も冷めやらぬ同月末、「著名ツイーター」のハルファン前ドバイ警察長官は「カタールはアブダビに併合してUAEの一部にしてしまえばよい」とつぶやいた。昨年秋、その毒舌が過ぎたことで長官職を解任されたハルファン氏だ。久々の「傑作」が大いに物議を醸したのは言うまでもない。  かつて休戦海岸と呼ばれていたペルシャ湾南岸の九つの首長国は、独立前の一九六〇年代ですら、みすぼらしい、小さな漁村が「国家」のすべてであった。奴隷を使った真珠取りが廃れ、沖合を通る貿易船を襲う海賊行為でかろうじて生き延びていたこれらの村の首長に英国が「もう海賊はしない」と約束させ、保護領としたことからこの呼び名がついた。このうち、カタールは昔からアブダビ、バーレーンと折り合いが悪かった。英軍のスエズ以東撤退の方針を受けて、これら諸国が一九七一年に独立した際、この三つ巴の反目ゆえに、・・・