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社会・文化

中高年登山ブームの「大迷惑」

「過信と甘え」による遭難が急増

2014年6月号

 また最多記録を更新した。  二百一人。  増加傾向にあるゴールデンウイーク中の山における遭難者数だ。死者数は二十二人で、二〇一〇年の三十四人に次いで二番目である。データ中、特に目を引くのは遭難者数のうち中高年者が占める割合の高さだ。百五十二人までが四十代以上。世代別でもっとも多いのは、六十代の五十五人だった。  ここ数年、「山ガール」と呼ばれる若い女性登山者も増えたが、彼女たちの目立った事故はほとんど報告されていない。専門誌『岳人』の編集者であり、登山家でもある服部文祥は言う。 「山ガールが出てきたとき、事故を起こして、世間から叩かれて、すぐに消えちゃうんだろうなと思っていた。でも実際は、そうなってない。彼女たちは捻挫ぐらいなら足を引きずって下りてきちゃうんですよ。若くて体力があるから、少々バカをやっても死なない。中高年者は道具は持ってるけど、体力はないし、得てして過信しがち。だからバカをやったら、すぐ死んじゃうんです。僕は中高年者の登山者が減らない限り、遭難数も減らないと思いますよ」  中高年の「登山ブーム」と言えば聞こえはいいが、業界内では「これでは・・・