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政治

追及すべきは「菅直人調書」

原発事故対応「A級戦犯」の妄言

2014年10月号

 東京電力福島第一原子力発電所事故をめぐる当時の吉田昌郎所長(故人)の政府の事故調査・検証委員会による聴取記録書「吉田調書」について、政府は九月十一日にこれを公表した。それを受けて同日夜、朝日新聞の木村伊量社長が今年五月二十日付の自社の吉田調書入手のスクープ記事について「思い込み」や「チェック不足」による「誤報」を認め、謝罪記者会見を開いたのは記憶に新しい。  本当に単なる誤報なのか、それとももっと意図的な事実関係の「つまみ食い」と朝日にとり都合の悪い部分の「省略」による歪曲報道なのかは見解が分かれるところだろう。  ただ、吉田調書があまりに注目されたために目立たず、クローズアップされなかった文書もある。政府が同日公表した政府事故調の聴取対象者十九人の調書である。  中でも菅直人元首相や枝野幸男元官房長官、海江田万里元経済産業相ら十一人の政治家調書はもっと焦点となっていい。菅氏をはじめ当時の官邸政治家らがいかに右往左往したか、その証言がどれほど独り善がりであてにならないかが改めて浮き彫りとなっているからだ。 証言能力自体が疑わしい 「一度現場・・・