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社会・文化

東大医学部長選挙という「滑稽劇」

あの不祥事教授がまさかの「大本命」

2014年11月号

 相次ぐ研究不正の発覚に揺れる東京大学医学部で、注目の医学部長選挙が十二月に迫ってきた。教授の一人は「門脇孝・東大病院長が立候補するという噂がある」と言う。OBの中には「門脇教授こそ本命だ」という者まで現れた。  門脇孝とは、本誌が詳報した武田薬品が販売する糖尿病治療薬ネシーナの臨床研究「J―BRAND」での不正が指摘されている問題人物だ。独立公正に行うべき臨床研究であるにもかかわらず、門脇は武田から多額の講演料などを受け取ってきた。武田に利益誘導するための研究を行い、金銭等の恩恵に浴してきたのだ。 「長年にわたり、東大医学部・病院の要職を務め、昨今の腐敗を招いた張本人」(医療業界誌記者)というのが衆目の一致した見方だ。こうした人物が、自ら犯した不祥事の責任をとらないばかりか、医学部長への「出世」を画策するとは、驚き呆れる話である。 結束固い「旧三内グループ」  本来なら無理筋の話を、背後で後押ししているのが「旧第三内科(三内)グループ」と呼ばれる集団だ。第三内科とは、明治時代に青山胤通教授が開いた日本最古の内科である。歴代教授は、日本医学界の要職・・・