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政治

安倍は「憲法改正」もやれない

高くつく解散の「代償」

2014年12月号

 策士策に溺れるという。どれだけ上策に見えても、自ら仕掛けた策で自滅する人間は少なくない。ましてや、周囲の批判に耳を傾けず、自分と異なる主張は「見解の相違」と切り捨てる自己中心的な政治家は、現実判断を誤り、自滅のリスクは一層、大きくなる。  意表を突いた衆議院解散で総理大臣・安倍晋三は総選挙の勝利を確信しているはずだ。だが、選挙後の政治は、その思惑と逆方向に動く可能性が高い。憲法改正をはじめとする宿願が、いよいよ達成困難になるということである。 改憲勢力は数を減らす可能性  解散・総選挙の真の狙いは、表向きの争点として掲げられたアベノミクス継続の是非ではない。なにも安倍がデフレ脱却や経済成長の実現を目指さないというわけではなく、その優先順位が低いという意味である。それは、アベノミクスが目先の株価や為替の「操作」など、内閣支持率の上昇に直結する取り組みには血眼になるのに、成果が出るまで時間のかかる成長戦略は過去の政権の焼き直しのような内容に安住し、財政再建も軽視していることからも窺える。 「消費税率の一〇%への引き上げを先送りするから信を問う」という・・・