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政治

《罪深きはこの官僚》 横畠裕介(内閣法制局長官)

政権に魂を売り渡した「憲法の番人」

2015年7月号

「我々の政権の時には、従来の憲法解釈に固執して官僚としてあるまじき行動に出たのに、安倍政権下ではコロリと寝返った」

 民主党の閣僚経験者は、内閣法制局長官の横畠裕介についてこう憤る。安保法制を巡る国会審議が紛糾する中で、安倍政権による集団的自衛権行使容認の強引な手法以上に、「横畠の『転向』こそが最大の元凶」(全国紙政治部記者)という声が永田町に根強くある。

 六月十九日の衆院平和安全法制特別委員会で横畠は安倍政権の集団的自衛権をフグにたとえ「毒があるから全部食べたらあたるが、肝を外せば食べられる」と答弁した。小難しい法律論を振りかざしてきたこれまでの姿勢と変わったように見えるが、「野党の追及をはぐらかすために論理をすり替えたに過ぎない」(政治部安保法制担当記者)。四月の参院外交防衛委員会でも、自衛隊が民間人を殺傷してしまうケースについて問われ、横畠が「大胆な仮定」と答えごまかしたために野党が反発、撤回するシーンがあった。法理に基づき淡々と答弁できないのは、横畠の過去の言動との整合性が危ういためだ。

 冒頭の民主党議員が指・・・