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中国で南北同時干ばつの恐れ 地震に次いで自然に脅かされる

2010年5月号公開

 


 四月中旬、青海省で大地震が発生したが、これに加えて現時点から懸念されているのが干ばつの大発生だ。特に南北での同時発生が懸念されており、中国当局は本格的な夏の到来を前に警戒心が高まっている。新華社によると、劉寧・水利部副部長が三月末、今年は南北での干ばつ同時大発生が懸念されていると言明した。同副部長によると、すでに中国東北部では降雨量不足を呈している。深刻なのは南部で今年第1四半期が終わった時点で、雲南、貴州、広西、四川、重慶地区の総降雨量が例年の五割強にしか達しておらず、南部の他地域でも例年の七~九割に過ぎないという。

 さらにこれらの地域では沿海都市部に比べ、降水を飲用水へと変えるインフラも構造的に不足しており、農作物だけでなく、人民への影響も指摘されている。

 こうした中国国内の懸念とは別に、国外から指摘されているのが二〇〇八年の北京五輪以降顕在化してきた、ロケットにより人工雨を降らせるやり方だ。この方法により中国各地で酸性雨が増えたほか、生態系破壊の事例も報告されているため、今後は安易に頼れないという。

 今年は上海万博開催の年だが、こうした節目の時期に自然災害が増えるのが中国。中国指導部の間では緊張感が高まっているもようだ。


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