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社会・文化

抗がん剤の「虚と実」

高額なのに効かない薬の闇

2015年12月号

 がんになったら、抗がん剤治療を受けた方がよいのか、それともやめておくべきか。日本では患者も家族も医師の言いなりであり、効果の有無も不明な抗がん剤を投与され、激しい副作用に耐え忍ぶ者が多い。それで命が救われるならまだしも、苦痛ばかりで却って死期を早めるケースも少なくない。  抗がん剤の中には、劇的な効果をもたらすものもある。ただそれはわずかだ。その他のほとんどは、非常に高額な薬価にもかかわらず、臨床治験データ上、明確な延命効果を示せていない。それなのに日本中のがん患者には日々、大量の抗がん剤が投与されている。  背景には、製薬会社と医療機関の結託による「医療費簒奪」の構図がある。国内外の製薬会社にとって、がん患者は「カネのなる木」なのだ。 研究開発に潜む「不正の温床」  まず、効果のある抗がん剤とはどのようなものか。一般論として、白血病や悪性リンパ腫のような造血器悪性腫瘍は抗がん剤が効きやすく、治癒が期待できる。かつて「死の病」と恐れられた小児の急性リンパ性白血病は、いまや八割は治る。  抗がん剤だけで完治は望めないものの、延命が期待・・・