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社会・文化

米国で認知症患者が「減少中」

「予防術」最新研究の論文内容

2016年5月号

 世界一の高齢化社会で、認知症の話題に事欠かない日本。だからこそ対策は、諸外国より進んでいると信じたいだろう。しかし、そんな淡い期待を打ち砕く、衝撃的な研究結果が米国から発表された。
 米国のある地域で、認知症の発症率が減っているとする研究結果だ。これまでも同様の研究はあったが、今回はデータの精度の高さから注目を集め、「欧米で認知症が減っている」ことが研究者間での共通認識となった。
 一方、日本はどうか。厚生労働省によると、二〇一二年に四百六十二万人だった患者数が、二五年には七百万人に増大し、六十五歳以上の五人に一人が認知症になると予想されている。現在は六~七人に一人と推計されているため、患者数の増加は単純に高齢者人口の増加によるとはいえない。欧米とは逆の現象であり、日本人は認知症になりやすい状況に置かれているのだ。それなのに、厚労省は予算の膨張を喜ぶばかりで、無為無策を続けている。
 認知症で特に問題なのは、特殊なたんぱく質が脳内の神経細胞を破壊するアルツハイマー型だ。全体の中で三分の二を占めるが、根本的な治療法もないため最も厄介で日本では激増している。・・・

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