三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

普天間はもう還ってこない

「工事中止」で辺野古を見限った米国

2016年4月号

 安倍政権が推し進めてきた米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への移設問題は司法から示された和解案を国と県が受け入れ、大きな節目を迎えた。だが和解案はあくまでも、双方が話し合いのテーブルにつくだけ。その協議が決裂して再び裁判になって県が敗訴、政府が本格的な埋め立て工事に着手するとの見方が支配的だが、事はそう一筋縄では展開しまい。この楽観論には米政権の交代という重大な視点が欠落しているからだ。大統領選の候補者指名争いで先頭を走る共和党の不動産王トランプ氏、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官のいずれが大統領に就いても、移設問題は塩漬けになる。そして普天間飛行場は還らないまま、固定化するに違いない。
「裁判所の意向に沿って和解を決断した。今回の和解内容を誠実に実行することとし、埋め立て工事を中止する」。三月四日昼過ぎ、首相官邸。安倍晋三首相は得意げに和解案受け入れを表明してみせた。福岡高裁那覇支部が示して双方が受け入れた和解内容は、国が埋め立て承認取り消しの撤回を求めた代執行訴訟を取り下げて工事を中断する。その上で、県と国が問題を再協議し、折り合いが付かなけれ・・・