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経済

《経営者東京裁判》三木谷 浩史 (楽天 会長兼社長)

万策尽きたIT界の「元カリスマ」

2016年9月号

 栄枯盛衰の激しいネットの世界。創立から二十年目とあっては、そろそろ賞味期限切れを迎えたとしても不思議ではあるまい。ネット通販大手の楽天が「閉塞状況」(関係者)の中でもがき、喘いでいる。金城湯池だった国内でアマゾンやヤフーの猛追を食らう一方、「楽天市場」の拡大を狙って進出した海外で相次ぎ撤退へと追い込まれているのだ。銀行マンから転身して起業し、いまや絶対君主と化した総帥・三木谷浩史も「さすがに焦りの色を濃くしている」(周辺筋)という。
 今年八月末―スペイン、オーストリアと英国における楽天の通販サイトと事業拠点がひっそりと閉じられた。スペイン、オーストリアは進出して三年。英国に至っては現地企業を買収して二〇一四年十月から事業をはじめたばかり。「スピード感ある決断」と言えば聞こえはいいが、何のことはない。「ちょっと齧ってはみたもののまったく歯が立たず、ほうほうの体で逃げ出した」(事情通)というのが真相らしい。
 これに先立つ三月にはインドネシアとマレーシア、シンガポールの通販サイトも閉鎖。四月にはタイのネット通販子会社も売却した。「物流面などの環境が未整備だった」。三・・・