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WORLD

「暗殺魔」プーチンがまた凶行

世界各地で「口封じ殺人」が続発

2017年4月号

 ロシアのプーチン政権の「殺しのライセンス」が世界中で猛威を振るっている。三月には、隣国ウクライナの首都キエフの繁華街で、白昼、ロシアの亡命政治家が殺害された。ロシアが政治的目的で暗殺を多用するのは、ソ連時代からの長い伝統だが、トランプ米政権の傍観もあって、ロシアの行動は大胆さ、陰惨さを増すばかりだ。
 殺害されたデニス・ボロネンコフ氏は、「俺はバンデラのように殺される」と数日前に語っていた。ステパン・バンデラは一九二〇年代から活躍した「ウクライナ民族主義者組織(OUN)」の指導者。一九五九年、亡命先の西独ミュンヘンで、シアン化合物を顔面に吹き付けられて殺された。

大胆な手口で範囲も拡大

 今回の事件との共通点は、ウクライナ人が実行犯だったこと。バンデラ殺害犯のボグダン・スタシンスキーは、自分の三姉妹が「ウクライナ蜂起軍」に加わるという民族主義者の家庭に育ち、ソ連当局に拘束された後、ソ連の工作員に転向した。
 今回の実行犯(死亡)もウクライナで経済犯罪に加わった後、ロシアの手引きで国を逃れ・・・