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経済

《企業研究》セコム

首位独走の裏で揺らぐ「安心と安全」

2017年10月号

 警備業界先駆で最大手、セコムの膨張が止まらない。二〇一七年三月期の連結売上高は九千二百八十億円と前期比五・三%アップ、五年連続で過去最高を更新した。一五年十二月に豊田自動織機から業界四位で、集配金など警備輸送に強い旧ダイエー系のアサヒセキュリティ(年商約三百六十三億円)を八百十億円で買収。それが通年で寄与したことなどが収益を押し上げた格好だ。
 この十月にはアウトソーシングビジネスの拡大を狙って、ベネッセホールディングスと丸紅のコールセンター合弁、TMJ(同約三百三十一億円、東京・西新宿)を丸呑み。期初に九千四百億円、一・三%増収としてきた売上計画は九千五百五十億円超に上振れする見込みで、一兆円の大台乗せは目前だ。国内におよそ九千社がひしめくとされる業界にあって「双璧」を成してきたライバル、ALSOK(綜合警備保障)などいまや完全に置き去り。売上高で二・二倍、時価総額で三・七倍、総資産では四・三倍もの大差をつけて首位を独走する。
 それ以上に圧倒的なのは利益水準だ。営業利益は一七年三月期で一千三百十億円とALSOKの実に四・六倍超。営業利益率では一四・一%にも達し・・・