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経済

旧村上ファンド「大儲け」の舞台裏

黒田電気の次なる「獲物」は戦々恐々

2017年12月号

「何かしらウラで握っているに違いない」。市場関係者らの間ではこんな観測で専らだ。
 十月末、旧村上ファンドが大株主となっている電子部品専門商社、黒田電気の買収を発表した独立系PE(プライベートエクイティ)ファンドのMBKパートナーズ(日本代表・加笠研一郎氏、東京・永田町)。新設した受け皿会社のKMホールディングスを通じて十二月十五日までの間TOB(株式公開買い付け)を実施。過去六カ月間平均の黒田電気の株価に約三〇%、直前の株価に約三五%のプレミアムを乗せた二千七百二十円で現在、株を買い進めている最中だ。成立すれば黒田電気を非公開化・完全子会社化したうえ、取締役の過半数を送り込む。
 黒田電気の株主には旧村上ファンド代表の村上世彰氏の親族や同氏の息のかかった投資会社などがずらり名を連ねる。持株比率は村上氏の個人資産運用会社とされるC&Iホールディングス(HD)CEO(最高経営責任者)で長女の野村絢氏が九・四三%、旧村上ファンドの顧問弁護士的存在だった中島章智氏が九・〇三%、旧村上ファンド系の投資会社レノが八・八三%など合わせて約三九%。すでにTOBへの応募でMBK側と・・・