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政治

安倍「フェイク改憲劇場」の終幕

与党も国民も振り回す「やるやる詐欺」

2018年4月号

 昨年五月三日の憲法記念日に、安倍晋三首相は独自の憲法改正案を、読売新聞の独占インタビューで唐突にぶち上げた。
〈九条二項の戦力不保持規定は残したまま、自衛隊を明記する。東京オリンピック・パラリンピックの二〇二〇年施行を目指す〉
 その後、自民党でとりまとめを担う細田博之憲法改正推進本部長や高村正彦副総裁も後日
「寝耳に水だった」
 と打ち明けている。
「安倍応援団」の読売と組んだ周到なサプライズ作戦との見方は深読みである。インタビュアーを務めた読売の前木理一郎政治部長は、その三カ月ほど前、経済人や官僚OBたちとのオフレコ会合でこぼしていた。
「再登板以来四年間、定期的に安倍さんと会食しているが、ただの一度も向こうから改憲の話題を切り出されたことはないんですよ。こちらから水を向けると、通り一遍の意欲は口にしても、なかなか難しいと言うだけで、どこをどう変えるとか内容にまで踏み込んだ話にはならない」
 改憲が「社是」の読売幹部でさえ疑心暗鬼だったわけだ。
 国会で「自衛隊明記」の真意と論理を問い詰められ、返答に・・・

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