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経済

野村證券の見るも無残な「退潮」

社員も顧客も逃げ出し始めた

2018年4月号

 国内最強の証券会社、野村證券の存在感が希薄化している。良くも悪くもメディアを賑わせた、かつての「ノムラ」の迫力も今は昔、リーディング・カンパニーの輝きを失ってしまった。
 野村の屋台骨は国内営業力の強さにほかならない。セカンダリーマーケットにおける圧倒的なセールスパワーが株式、社債などの引受幹事シェアの高さを支えてきた。しかし、最近ではこんな話を、ある地域金融機関の人物が語っている。
 先進的な取り組みで知られる某金融機関の役員が、野村證券を呼んで自社の証券戦略を検討する会議を開催し、野村の幹部がプレゼンテーションした。ところが、その役員によると、「期待していたのは証券ビジネスの新機軸といった話だったのに、日経平均株価が二万五千円を目指すというような相場見通しの話ばかりだった」。要するに、野村は我田引水のようなセールス半分の提案を言い連ねたというのだ。その話に耐えかねたトップは怒って「途中で会議を打ち切ってしまった」と言う。
 トップが期待していたのは、近年、野村がリテール営業部門で強化しているとされる「ゴールベースアプローチ」の話だった。これは、顧客の・・・