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経済

《企業研究》早稲田大学

私学の雄にも迫る「将来不安」の影

2018年4月号

 Waseda Endowment―慶應義塾大学と双璧を成す私学の雄・早稲田大学が今年一月に設定した資産運用のための新型基金の名称だ。日本国債をはじめとした国内公社債や預貯金など、元本保証型の商品にやや偏ったこれまでの資産ポートフォリオを見直し、積極的かつより長期的視点に立った投資へと舵を切る。
 基金に振り向けるのは使途非限定の寄付金や過去に積み上げた運用益で、一千百五十億円(簿価ベース、二〇一七年三月末)にのぼる総運用資産の約一割(一億ドル分)相当。新興国を含むグローバル株式・債券、REIT(不動産投資信託)、コモディティ(商品先物取引)のほか、未公開株や社会インフラ、ヘッジファンドなどに投資するオルタナティブも排除しない。運用は海外の資産運用会社などに委託し、四~五年かけて段階的に拡大。リスクを取って「ミドルハイリターンを狙っていく」(大学関係者)考えだ。
 日本の大学の資産運用方針は私立、国立を問わず「ローリスク」を旨としているところが大半だ。特定非営利活動法人「二十一世紀大学経営協会」が実施したアンケート調査を基に、大和証券が二〇一六年五月にまとめたレポー・・・