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政治

復活「竹下派」が握る安倍三選の命運

最大派閥「返り咲き」戦略の深謀

2018年5月号

「今日は四月十九日。大安ではないが、赤口は十二時が一番いい」
 厳密に言えば、赤口は大凶の日だが、午の刻だけは吉とされる。事務総長の苦心のあいさつで始まった派閥総会で、竹下登元首相が立ち上げた「経世会」の流れをくむ自民党の平成研究会が二十六年ぶりに「竹下派」に衣替えした。
 額賀福志郎元財務相から、登氏の弟である竹下亘総務会長への移行は難産だった。
 登氏の秘書だった青木幹雄元参院議員会長が額賀氏に交代を打診したのは、前回の自民党総裁選が予定されていた二〇一五年。早々に「安倍再選支持」を表明した額賀氏が終戦記念日の八月十五日に「愛人」とホテルで密会していたと「週刊新潮」に報じられた後だ。
「いますぐ辞めたら、『この問題で代わった』と言われるので、来年の参院選までに代わったらどうかね」
「わかりました」
 青木氏は約束と受け取ったが、額賀氏はその後も居座った。最後は、青木氏の側近である吉田博美参院幹事長が今年一月、「辞めなければ重大な決意をする」と参院議員二十一人の離脱表明を突きつけることにより、約二年半かけて創業家に戻すことを・・・