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政治

朝鮮半島「終戦」に潜む落とし穴

「米朝融和」がもたらす日本の危機

2018年6月号

 六月十二日に予定されていた米朝首脳会談はトランプ米大統領の通告で急きょ中止されたが、従来の対決モードに戻ったわけではない。双方が再び歩み寄る展開により、日本が内包する危機が顕在化してきた。それは、朝鮮国連軍の消滅だ。
 北朝鮮の狙いは国家体制の保証で、それを担保する手段が米国との平和条約の締結である。この条約を結ぶには、戦争状態の継続を前提とする朝鮮戦争休戦協定を消滅させなければならない。だが協定がなくなれば、自動的に朝鮮国連軍も消える。それは、国連軍の主体でもある在韓米軍の大幅な縮小や撤退に直結するばかりか、オーストラリアやカナダなど国連軍の錦の御旗の下で日本の安全保障に関与してきた国家群が日本から離れていくことを意味する。平和条約という政治的な契りが、核の不可逆的な完全放棄に先行すれば、むしろ日本が抱える危機は高まりかねないのだ。
 朝鮮戦争では三年の戦火を経て、米軍など国連軍と北朝鮮の朝鮮人民軍、中国人民志願軍の三者が休戦協定を締結した。そこでは「最終的な平和解決が成立するまで朝鮮における戦争行為とあらゆる武力行使の完全な停止を保証する」と規定した。最終的な・・・