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経済

国策資源会社「INPEX」の放蕩三昧

暴利で肥大化する「経産省植民地」

2018年7月号

 米国のトランプ大統領に感謝しているのは、体制保証を約束された北朝鮮の独裁者だけではないようだ。電力・ガス業界からはこんな怨嗟の声が上がる。
「悪運の強い人だ……」
 その人は、六月二十六日、経済産業省が一八・九%出資する国際石油開発帝石(INPEX)の社長に就いた上田隆之氏。同省の官房長、資源エネルギー庁長官、経産審議官を歴任し、とりわけエネ庁長官時代に甲論乙駁の末、電力の発送電分離、都市ガスの導管分離を強引に制度化した人物である。その豪腕官僚が国策会社のINPEXへ天下り、しかも、年内にも入着する同社二十年越しの大型LNG(液化天然ガス)プロジェクト、豪州イクシスの第一船を、社長として迎えるのだ。
 もっとも、イクシスLNGは米国の金融緩和政策の煽りで資材・人件費が暴騰した時期に着手された開発案件。そのうえ、たびたび工期が遅延し、原価は百万BTU(英国熱量単位)当たり十二ドルを超えるとみられてきた。比べて現在、市場に溢れているLNGのスポット価格は八ドルの水準。電力・ガス業界には「上田さんは赤字に苦労することになる」と溜飲を・・・