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社会・文化

大阪地震で増す「活断層」への誤解

恐怖煽る学者とメディアの「無知」

2018年7月号

「活断層」という言葉が生まれたのは一九二三年の米国。地震多発地帯、カリフォルニア州の「断層図」のうち、特に地震を起こす(可能性のある)断層として、「active fault」という単語が作られた。直訳すれば「活動的な断層」だ。これを「活断層」と訳したことで今日、言葉のイメージは本来の意味を離れ独り歩きしている。さも「活断層という部分が活発に動いて地震が起きる」かのように……。研究者も、メディアによって増幅された誤った印象を特に訂正しない。それは自分たちに好都合だからだ。

阪神・淡路大震災で「バブル」に

 六月十八日に大阪府北部を襲ったマグニチュード六・一の地震は通勤時間帯を直撃した。倒れたブロック塀や家具などにはさまれて不幸にも五人の命が奪われたものの、想像したよりも被害は大きくなかった。ただ、今回よりもエネルギーの大きな直下型地震が襲っていたらどうなるのか、そんな地震はいつくるのか―。不安は募るばかりだが、それを煽ったのが他ならぬ学者とメディアである。
「(今回の地震は・・・