三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

《世界の キーパーソン》 アレクサンドリア・オカシオコルテス(米民主党下院議員候補)

中間選挙の目玉は「左のトランプ」

2018年8月号

 ドナルド・トランプ大統領がこれだけ迷走しているのに、共和党は今年十一月の中間選挙に、望みを捨てていない。米国の選挙予想が当たらないのは二年前に実証済み。しかも、民主党側が「嫌トランプ」ムードに乗って、猛烈な勢いで女性候補や左派系候補の擁立を決めているので、反撃のチャンスは十分ある、と見ているのだ。
 共和党の個人攻撃を一身に受けているのが、オカシオコルテスである。六月に行われた、下院ニューヨーク州第十四選挙区の民主党予備選で、十期連続当選の大物現職、ジョー・クローリーを破り、下院への挑戦権を得た。同選挙区は、人口の半分がヒスパニックで、過去七回の大統領選では民主党候補が連続して七〇%以上の得票を記録した。順当にいけば、彼女は来年一月、史上最年少(二十九歳)の女性下院議員になる。
 共和党は、格好の敵役登場に大喜びだ。彼女は左派政党「民主社会主義者」の党員であり、無所属で左派のバーニー・サンダース上院議員の秘蔵っ子。女性やヒスパニックの問題で急進的なのはもちろん、国際問題でも、米政界ではタブーのイスラエル批判を行った。共和党や保守系メディアからは、「こんな過激な女性・・・