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経済

外国人経営者「幻想」を捨てよ

「ゴーン事件」が炙り出した現実

2018年12月号

 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の不祥事は、所得隠しや企業の私物化などスキャンダラスな部分が関心を集めているが、日本企業が注目すべきは「外国人社長による日本企業統治の有効性」である。硬直化し、行き詰まった企業をショック療法で立て直す局面では、外国人社長は力を発揮できても、日本人社員を統率し、持続的成長を目指す段階になれば、日本企業の特性を理解できない外国人トップは組織の〝免疫”反応でグリップ力を失う。外国人トップに期待されるグローバル経営でも日本人主導で成功している事例はトヨタ自動車、信越化学工業、コマツ、ダイキン工業など山ほどある。ゴーン事件は外国人トップへの幻想を捨てる好機となるだろう。
 ゴーン事件の報道で、日産のV字回復を同氏の功績とする記事がほとんどだが、それは真実ではない。日産の不振の元凶だった情実の入り込んだ調達、無法地帯と化していた系列のディーラーや部品メーカー、沈滞し新しい提案も施策も生まれない組織を抜本的に変えたのは確かにゴーン氏である。
 改革プランそのものは、「ゴーンを連れてきた男」と呼ばれた塙義一社長(当時)が後日の日刊工業・・・

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