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経済

《企業研究》日産自動車

植民地「解放闘争」は成功するか

2018年12月号

「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する」。英国の歴史学者、ジョン・アクトンのこの警句がそっくり当てはまるとでもいえる乱脈ぶりではないか。
 十一月十九日、東京地検特捜部に逮捕された仏ルノー・日産自動車・三菱自動車会長(当時)のカルロス・ゴーン。直接の容疑は自らの役員報酬額を有価証券報告書に計五十億円強、五年間にわたって過小に掲載していたことによる金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載)だが、日産は会見で、そのほかにも海外での高級住宅の取得や豪華家族旅行といった私的な目的での会社資金および経費の支出など、「複数の重大な不正行為」(西川廣人社長兼CEO=最高経営責任者)があったことを指摘。捜査の進展具合によっては今後、特別背任や業務上横領、さらには所得税法違反などでの再逮捕、再々逮捕も視野に入る。
 逮捕を受けて日産は同二十二日、三菱自は二十六日に臨時取締役会を開き、ゴーンの会長職をそれぞれ解任。ルノーは「(不正の)証拠を持っていない」としてひとまず解任を見送ったものの、ティエリー・ボロレCOO(最高執行責任者)を暫定副CEOに、社外取締役のフィリップ・ラガイ・・・

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