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政治

自衛隊を「弱体化」させる安倍政権

防衛費膨張の陰で響く「現場の悲鳴」

2019年1月号

 この国を、守り抜く―。安倍晋三首相はそんな決まり文句を連呼し、米国製の最新兵器をつけ払いで爆買いしていく。借金漬けであっても、このご時世、自衛隊が中国や北朝鮮に対抗する強い軍隊に変容するなら、一概に批判ばかりもできないだろう。だが、いくら防衛費を増やしたところで、自ずと限界はある。その大量購入の余波で、肝心要の自衛隊の稼働に必要な予算が吸い上げられる本末転倒の反動が起きているのだ。
 まず、今の防衛費の後年度負担という名の異様なまでの「ローン地獄」の実態を確認しておきたい。その残高は二〇一八年度予算で五兆円を突破し、一九年度は五兆三千億円に達する見通しだ。理由は、米政府の対外有償軍事援助(FMS)に基づく爆買いとその分割払いが防衛費とローンを雪だるま式に増やしている。自動的に必ず支払う自衛官の人件費・糧食費に借金返済を合わせると、防衛費全体の八割以上を占める「火の車」。その残りで、自衛隊の補給や活動費を賄うわけだが、この割合が年々縮小の一途を辿っている。

中古部品の「共食い」が横行

「あの事故の遠・・・