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台湾こそ安全保障の「要石」

蔡英文を突き放す安倍外交の愚

2019年4月号特別リポート

 海峡を隔てて位置する世界第二の軍事・経済大国の恫喝にあった台湾が、日本に対して安全保障上の助けを求めたといった平凡な受け取り方はしない方がいいかもしれない。習近平・中国国家主席が一月二日に行った演説で示した台湾に関する五項目の要求は、確かに武力行使を排除しない不気味な底意を秘めたものだが、台湾側では蔡英文政権はもとより、野党の国民党まで怒らせてしまった。
 蔡総統は二月二十八日に産経新聞との単独インタビューで、日本との安全保障の実務的協力を求めた。日本国憲法第九条の枠内で日本に何ができるか、できないかを台湾側が知らないはずはない。それよりも、日本の頭越しで米台関係は強まっている。習演説で米側が静かに行動で示し始めたのは米台間の高官による相互訪問、台湾関係法に基づく武器供与、米艦船の台湾海峡運航などで、その背景にはアジア再保証イニシアチブ法案(ARIA)の存在がある。同法案は上下両院全会一致で可決され、トランプ大統領が署名しているから米国家の意思として台湾重視を約束した公約文書と解釈していいだろう。昨年十月には政治、経済、軍事、技術、宗教などあらゆる面で中国を批判するペンス副・・・