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経済

日の丸半導体産業の早まる「死期」

安倍「嫌韓政策」の巻き添えで

2019年8月号

 衰退が続く日本の半導体産業が安倍晋三政権の外交の道具に使われ、絶滅への道を歩み始めた。半導体製造では最後の砦、東芝メモリは既に米国中心のファンドの手に落ち、ソニー、ロームなどの画像用、電力制御用のアナログ半導体がかろうじて生き残っているのみ。かつて覇を唱えていた製造装置も没落が激しい。唯一、世界でシェアを保つのは化学品などの材料だが今回、韓国への輸出制限で「脱日本」を促進させる愚を犯した。「日本にしかつくれない」という安倍政権の浅はかな思い込みと傲りが、日本の半導体産業を幕引きへと向かわせてしまった。
 安倍政権は貿易管理上の問題で安全保障に懸念があるとして、フッ化ポリイミド、レジスト(感光剤)、フッ化水素の三品目の韓国向け輸出を規制した。サムスン電子、SKハイニックスの二大半導体メーカーを抱える韓国が慌てたのは言うまでもない。
 レジストはシリコンウエハーに回路を焼き付ける際に不可欠の感光材料であり、装置は特定のメーカーのレジストに合わせて調整されており、簡単に他メーカーの製品に置き換えることはできない。特に今回は五ナノメートル(nm)の最先端の微細回路形成に使・・・