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社会・文化

気候変動「最悪シナリオ」の虚実

「ビジネス化」する環境問題の危うさ

2019年10月号

話題に事欠かなかった国連気候行動サミットの期間中、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、温暖化対策が不十分だった場合、二一〇〇年に海面が最大一・一メートル上昇するという特別報告書を公表した。日本では大きく報じられたが、その内容は果たして適切なのだろうか。
 地球温暖化に対する取り組みの原点ともいえる一九九七年の京都議定書採択から二十年余り。当時あった温暖化による絶望論が「誇張」であることが明らかになる一方で、一定の影響は避けられないこともわかってきた。これをビジネスにしようという勢力も出てきた。温暖化問題は様々な思惑が絡む複雑な気圧配置の中で、漂流を続けている。
 地球温暖化によって海面が五メートル以上上昇し、太平洋の島々が沈み、ハリケーンが多発して人類は危機に瀕する―。二〇〇六年に公開された『不都合な真実』の中ではこう描かれた。この映画自体が米国のアル・ゴア元副大統領による偏向したプロパガンダだったことは周知の事実だが、環境運動家や気象学者の一部も五十歩百歩のやりかたを続けてきた。

見てきたように語る学者・・・