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社会・文化

新型ウイルスに無防備の日本

未知の感染症は今後も相次ぐ

2020年2月号


 新型コロナウイルス感染者が増加の一途だ。中国メディアによると、一月二十八日時点で、中国国内の患者数は四千人を超え、死者は五十六人に達した。また、中国政府は百六人の医療従事者が感染し、一人は重症と報告、人から人への感染が起こっていることを認めた。感染力については、当初の「弱い」から「やや強くなっている」と見解を改めた。
 中国政府は武漢で飛行機などの公共交通機関を全面停止させ、海外への団体旅行を禁止した。事実上の「武漢封鎖」だ。自由主義国家ではできない荒業だが、遅きに失したというべきだろう。中国国内だけでなく、東アジア、東南アジア各国に加え、米国、フランス、豪州などでも感染者が確認されている。すでにウイルスは世界中にばら撒かれている。いつ、パンデミックに発展してもおかしくない。
 政府や有識者は「毒性は弱い」との発言を繰り返しているが、額面通りに受け取れない。「パニックを怖れ、被害を控えめに言うのが役人の本能」(厚生労働省関係者)だからだ。新型コロナウイルスの致死率は現時点で二%程度だが、持病がない五十三歳の男性も死亡している。SARS(九・六%)、中東・・・