シン・フェイン党と聞いて、カトリック系のテロ組織「アイルランド共和軍（ＩＲＡ）」を連想するのは日本人ばかりではない。英国人はもとより、カトリック教徒が圧倒的なアイルランド本国でも、中高年以上には暗い記憶がある。
　そんな党が、二月八日のアイルランド総選挙で、二四・五％を獲得し、得票率でトップに躍り出た。レオ・バラッカー首相の「フィナ・ゲール（統一アイルランド党）」は第三位に後退。同党とともに、「二大政党」を構成した「フィアナ・フォイル（共和党）」は、議席数でシン・フェインを一議席だけ上回ったものの、得票率では二ポイント以上、後れを取った。
　シン・フェイン党躍進は、この国の政治の枠を壊しただけではない。英「エコノミスト」誌は、「これで、アイルランド統一を話題にすることが一気に増えるだろう」と論評した。シン・フェイン党は北アイルランドを拠点に、ＩＲＡのテロが吹き荒れた時代から、ずっと「南北統一」を唱えてきたからだ。英国が欧州連合（ＥＵ）から離脱した中、北アイルランドがその英国から離脱し、南のアイルランド共和国と統一して、ＥＵにとどまるというシナリオである。ほんの少し・・・