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経済

米国株「パニック相場」の行方

「買い場」はいつ来るのか

2020年4月号

「売り逃げるはずだったのに」という方も多いかもしれない。新型コロナウイルスの世界的感染拡大と原油価格大暴落の「逆オイルショック」という二羽のブラックスワンが同時に現れ、突如として十一年に及ぶ米国株式市場史上最長の強気相場が終わった。中央銀行の「魔法」が効かない相手が現れて市場はパニックに陥り、見えない敵の恐怖にかられた人々は資産を投げ売って現金に殺到している。
 動きを振り返ろう。二月十二日に史上最高値二万九千五百五十一・四二ドルを付けたダウ平均株価は、二月二十一日まで二万九千ドル前後で推移していたが、週末を挟んで二月二十四日に二万七千九百六十・八〇ドル、その週に二万五千四百九・三六ドルまで一気に下落した。その翌週は二万六千ドル付近でもみあい、ここまでなら、普通の調整で終わる可能性もあった。
 しかし、サウジアラビアが三月九日、原油の増産を表明し原油価格が大暴落、楽観シナリオは吹き飛んだ。株価は急落、一九八七年十月のブラックマンデー以来の「サーキットブレーカー(取引の十五分間停止)」も発動する事態となった。十日には、ダウ平均の高値からの下落率が二〇%を超えて、「弱気・・・