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連載

西風 467

「新大阪」五十年越しの再生

2020年4月号

 中国から大挙して押し寄せていた観光客の波がパタリと止まり、大阪の街は「一旦休み」の様相を呈している。ただしコロナ問題が収束すれば、二〇二五年の万博に向けて、再び勢いを取り戻すことが期待される。
 大阪市内での再開発は梅田北部を中心として今後も続くが、ここにきて注目を集めているのが、「玄関」ともいうべき新大阪だ。
「大阪中心部からそこまで離れておらず、アクセスも悪くないのに常にパッとしない街だった」
 JR西日本関係者はこう語る。しかし大阪府と大阪市は昨年から鉄道会社や学者らを集めた「新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会」を発足させ、このエリアの新しい未来像を描こうとしている。
 また国はリニア中央新幹線や北陸新幹線の乗り入れ構想を見据え、一八年に新大阪駅周辺を税制の優遇や建築基準を緩和する都市再生緊急整備地域の候補地域に指定。両線のターミナル駅も新大阪に整備する計画が進行している。すでに昨年三月には奈良に直通電車が走る「おおさか東線」が開通しており、新大阪駅の利便性は向上する一方だ。
 民間主導の計画も進行中で、駅西口に野村・・・