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連載

新大学評判記 第4話

京都大学理学部  「自由な校風」守るための変革

2020年4月号

 京都市左京区の吉田近衛町周辺に、京都大学のキャンパスは密集している。工学部の一部などが桂に研究拠点を持つが、それ以外の各学部校舎は、南は春日北通から北は御蔭通にいたるまでの狭いエリアに密集している。最も北に位置する吉田キャンパス北部構内に農学部とともに居を構えるのが押しも押されもしない看板学部である理学部だ。
 学部出身のノーベル賞受賞者数に言及するまでもなく、我が国を代表する理系研究のトップ機関であることは論を俟たないが、京大理学部が十年後、いや五十年後も現在の地位にいられるのかどうかが問われている。理学研究科のある教授が語る。
「どんな学生が集まるか。そしてどんな教育を施すか。世間的に優秀な学生が集まるといわれる京大でさえ、重要な要素はこの二つ。そしてこれについて模索を続けているのが理学部ではないか」

「教育機関」としての役割

 京大といえば、「自由な校風」と言われることが多い。キャンパス周辺の立看板や、いまだに存在する自治寮など、挙げられる例は数多あるが、実は理学部こそ自由の象徴だ・・・