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政治

創価学会が掻き乱す「コロナ対策」

公明党「十万円給付」強要の舞台裏

2020年5月号

 国民一人当たり十万円の給付を勝ち取る「大戦果」を挙げた公明党が、隠忍自重の日々を余儀なくされている。連立離脱をちらつかせた山口那津男代表が安倍晋三首相を押し切った形だが、内実は「議院内閣制のプロセスを無視した禁じ手の連発」(閣僚経験者)。露呈したのは官邸内の力学変化と現世利益を求める会員の要求に焦燥感を強める創価学会と、支持母体に翻弄され政治手腕の未熟さを覆い隠せない党執行部の姿だった。
「一律十万円の給付を実現できないまま、選挙の支援をどうやって呼び掛けるんだ」。四月九日朝、学会本部。選挙担当の佐藤浩副会長が、七日に閣議決定した経済対策で「減収世帯への三十万円給付」に応じた山口をはじめ居並ぶ党幹部をなじった。
 声を荒げる佐藤に、山口は「一律とは言っていません。生活に困っている人にスピード感を持って届ける方策が一世帯三十万円ということです」と説明。確かに公明党が打ち出した経済対策に「十万円給付」はあるが「一律」との文字はない。そんな永田町の修辞学が宗教団体に通じるはずもなく、学会側から「それなら今後は選挙も自分たちでやれ」と通告された山口は「次の一手を考えたい」・・・