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社会・文化

荒廃する慶應義塾「横浜初等部」

学校運営で呆れた事件続出

2020年5月号

 東急田園都市線の江田駅から徒歩で約十分の住宅地。天然芝の広大なグラウンドと瀟洒な校舎を抱えるのが二〇一三年に開校したばかりの私立小学校、慶應義塾横浜初等部だ。慶應義塾大学まで自動的に上がれるため、伝統のある慶應義塾幼稚舎と並び、一気に「お受験」界の頂点に君臨することになったこの小学校が今、内部崩壊の危機にあるという。
 四月、初等部の保護者に衝撃の情報が駆け巡った。初等部の卒業生は慶應義塾湘南藤沢中等部(通称SFC)に進学するのだが、「中一を終えた初等部一期生のうち、三〜四人が中二に進級できなかった。うち何人かは退学した」(一期生の保護者)というのだ。
 慶應といえば、高校どころか中学から留年させることもある「スパルタ教育」でも知られるが、それはあくまで男子校で横浜の日吉にある普通部だけとされてきた。それに留年しても年にせいぜい一人か二人程度だ。慶應は普通部のほかに都内の三田にある中等部、SFCと計三つの付属中学を持つが「中等部とSFCで留年なんて聞いたことがない」(幼稚舎出身の慶應大学OB)。そのSFCで大量の留年者を、しかも中一で出したのだからまさに「大事件」・・・