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連載

Book Reviewing Globe 433

GAFAが歪める米国の将来

2020年6月号

 コロナウイルス危機によって世界は、無人と遠隔を新常態とする非接触経済社会へと急速に移行しつつある。オンライン診断とオンライン教育をはじめ、デジタル・トランスフォーメーションが一気に進んでいるのだ。それに伴ってGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)を中心とするプラットフォームの時価総額が爆発的に膨らんでいる。それこそ独り勝ちの状態が生まれている。一見、これらのビッグ・テックの、さらには米国のイノベーション力を表しているかに見える。彼らのサービスは生活の隅々に浸透し、経済、政治、文化をまるごとからめとっている。
 しかし、実は彼らは米国を技術革新的な国家にするどころか、長期的には生産性と成長を阻み、衰退へと向かわせる可能性が強い。プラットフォームの市場独占は競争相手を根絶やしにし、顧客のデータを顧客の知らないところで加工し、又貸しし、広告用に搾取し、選挙操作の餌としてきた。利益をオフショアに隠し、税金逃れをしてきた。クレディ・スイスの推計では、アップル、マイクロソフト、オラクル、グーグル、クアルコムを含むシリコンバレートップ十社は六千億ドルを海外口座に逃避させ・・・