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WORLD

「ネットの自由」を巡る世界攻防戦

「対中露」で新国際機構の結成が急務

2021年1月号

 中国のデジタル大手企業が、中国共産党の意思通りに各種データを扱い、米国の制裁対象になったり、各国で製品やアプリが禁止されたりするケースが相次いでいる。
 ファーウェイ(華為技術)やTikTokが代表例だが、新型コロナウイルス感染拡大で飛躍した、テレビ会議サービス「ズーム」社でも十二月、中国人元幹部が米検察に起訴された。
 インターネットの世界では、ざっと四割が中国のような独裁国家の管理下にあるとされ、自由主義社会への干渉も増えている。米国では、デジタル技術力を持つ民主主義国を「テクノ・デモクラシー」と位置づけ、「T10(テック十カ国)」または「T12(同十二カ国)」といった新国際機構結成を求める声が強まっている。

中露独裁諸国の「ネット支配」

 新型コロナウイルスとインターネットに明け暮れた二〇二〇年は、デジタル社会における中国の「悪意」が鮮明になった年でもあった。
 ファーウェイと「曠視科技(メグビー)」が開発していた「ウイグル・アラーム」という技術は、中国のウイグル族を検出・・・