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OPEC「分裂・自壊」の秒読み

今や産油国不和の「増幅装置」に

2021年1月号

 石油輸出国機構(OPEC)が機能不全と分裂の危機に直面している。新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、原油価格が低迷し、産油国の協調減産ができなくなっているためだ。
 OPECは今年、ロシアやカザフスタンなどを加えた「OPEC+」として協調減産を図っているが、加盟国の半数以上が協定違反をしているのが実態だ。
 価格低迷が続く中で、有力メンバーであるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の対立が表面化し、UAEは「OPEC脱退」まで示唆している。

「離脱も視野に入れている」

 OPEC本部は、オーストリアの首都ウィーンにある。少し前まで、首都のカジノには、お付きに札束の詰まったカバンを持たせて、産油国の富豪が集まったものだ。昨年は新型コロナでカジノは閉鎖。OPEC総会などの各種会合は、テレビ会議に切り替わった。
 ウィーンでの総会は密室で行われ、詳細は全く分からない。テレビ会議のおかげで、内実がかなり分かるようになった。
「最近の会議は、友好的な雰囲気はかけらも・・・