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政治

自民党「地方選挙」の苦境続発

菅政権「早期退陣論」を助長

2021年1月号

 二〇二一年は衆議院選挙が必ず行われる「選挙イヤー」だ。有力視される時期が夏以降ということもあり、各党は同年前半の地方自治体の首長選挙や議会選挙での戦績が衆議院の議席獲得に直結すると見て、力を入れる構えだ。その中で、国政与党の自由民主党が変調をきたしている。保守分裂や地方組織の弱体化が続き、かつての牙城を含め、次々と足場を失いかねない状態に陥っているのだ。
 二〇年九月の自民党総裁選挙では「秋田出身の叩き上げ」を売りに、地方票をごっそりと得た総理大臣・菅義偉にとって、年初の地方選挙の帰趨は、「選挙イヤー」の行方を占う意味でも重要だ。
 まず直面するのが、二一年一月七日告示、同二十四日投開票の岐阜県、山形県の二つの知事選挙だ。どちらも、自民党にとって望ましい展開にはなっていない。
 保守王国の岐阜県では、五選を目指す現職の古田肇(七三)に対し、古田と不和になった自民党の県議会議員の一部が、経済産業省出身の江崎禎英(五六)を担ぎ出し、保守分裂選挙となっている。
 同県では五つの衆議院小選挙区および参議院の二議席を自民党が独占していて、自民党本部で幹事・・・