三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

コロナの「生贄」飲食業界の悲痛

政府・専門家「失政」の犠牲に

2021年2月号

 緊急事態宣言の再発動にもかかわらず、新型コロナの感染者数は高水準で推移し、一部では医療崩壊に陥った。感染予防と経済活動を両立させ、東京五輪につなげるという菅義偉政権のシナリオも崩壊寸前だ。
 失政の責任は、十把一絡げで飲食店に向けられた。業界の打撃は甚大だ。営業自粛による損失だけではなく、会食そのものが感染拡大の「戦犯」扱いにされたことで、緊急事態宣言が解除された後もダメージは長引くだろう。
 感染場所として飲食店が指摘されているが、市中感染の場合、いつ、どこで感染したかを厳密に特定するのは困難だ。保健所が中心になって感染者から行動履歴を聞き取る調査に基づいた「推定」に過ぎない。
 飲食店での滞在時間は比較的長く、いつ誰と会食したのかが分かりやすい。一方、移動中の電車やバス、買い物中のスーパーやコンビニなどで感染しても、滞在時間が短く感染場所として意識されにくい。スポーツジムや遊戯施設なども一人で訪れた場合は行動履歴として把握しにくい。風俗店など滞在を認めにくい場所もある。
 確かに、飲食店ではマスクを外す時間が長く、飛沫を浴びるリスクは高いが・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます