三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

今もデタラメ「死因究明制度」

犯罪「捏造・見逃し」をコロナが助長

2021年3月号

 新型コロナウイルス感染症が日本国内で本格的に猛威を振るい始めてから一年。「闘い」が長期化する中で、新型コロナによって病院以外で死亡する人たちが数多く出ていると最近、取り沙汰されるようになっている。
 警察庁の発表では、自宅などで死亡した人のうち、死後の検査で新型コロナに陽性だった数は、今年一月だけで全国で少なくとも百三十二人だとしている。また厚生労働省によれば、二〇二〇年十二月から二一年一月二十五日の間に、自宅やホテルなどで療養中に新型コロナで死亡した人は二十九人に上るという。
 ただ厳密に言うと、彼らすべてが新型コロナによって死亡したとは限らない。なぜなら、厚労省医政局の通達で死亡時点で新型コロナ陽性者は、全て新型コロナ関連死と記録することになっているからだ。つまり、本当はどんな死因で新型コロナ陽性者らが死亡したのかはわからないのが実情なのだ。
 そもそも、日本の死因究明制度はきちんと機能していないと、これまでも問題視されてきた。そして最近、課題だらけの死因究明の現場に新型コロナが現れたことで、さらなる混乱が生じている。

犯罪死体見逃しは「氷山の一角」・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます