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中国「台湾侵攻」は遠くない

苦難が始まった日米同盟

2021年4月号特別リポート

 日米同盟が、重大な危機に瀕している。
 中国の習近平国家主席が、台湾を軍事的に統一するという選択肢に、ますます傾斜しているためだ。日米両国の軍備態勢が全く整わないままに、中国が台湾を制圧すれば、東アジアにおける米国の威信と影響力は、取り返しのつかない打撃を受ける。
 バイデン政権は、日米とインド、オーストラリアの「クアッド(四カ国)」連携や、日米と韓国、さらに東南アジア諸国連合(ASEAN)など可能な限り多くの民主主義国を、中国との競争に動員しようとしている。しかし、対中競争や戦争に加わるには、どの国も、政治・国防態勢が全く整っていない。
 米軍が東アジアで無力化されれば、沖縄本島や琉球諸島の防衛が極めて脆弱になるだろう。菅義偉首相は、歴代の政権が長期にわたって、対中戦争の脅威をあいまいにしてきたツケを、短期間で支払わなければならない、厳しい局面に立たされている。

米軍は「六年以内」との分析

 三月下旬、日本の新聞には「中国の台湾侵攻迫る」(産経新聞)といった、物騒な見出しが出・・・