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政治

復権狙う「安倍一族」の野望

《政界スキャン》

2021年5月号

 菅義偉首相が就任から半年間に首相官邸で行った計九回の記者会見で、東京新聞は一度も指名されたことがないらしい。同紙が四月五日付朝刊一面で「政権に批判的な社の質問回数が少ない」と偏った会見運営を批判した。
 それによると、幹事社(二カ月交代の持ち回り制)二社の代表質問を除く挙手による指名で、質問回数が多いのは、五回=読売新聞、産経新聞、共同通信、四回=日経新聞、京都新聞、NHK。少ない方は、一回=朝日新聞、西日本新聞、北海道新聞など、ゼロ回=東京新聞となっている。確かに安倍晋三前政権で「親安倍」「反安倍」に二分されたメディアの色分けが引き継がれている匂いがプンプンする。司会の内閣広報官は、記者の顔を見ながら多くの場合、社名と氏名を呼んで指名する。会見九回の集計結果で偶然こうした偏向が現れるとは考えにくい。
 指名したのは、菅首相の長男から常識外れの高額接待を受けて辞めた山田真貴子前広報官、後任に抜てきされた小野日子広報官だが、もちろん在任半年余りの二人が考えた芸当ではあるまい。第一次安倍内閣を含め、安倍元首相の下で八年以上も内閣広報官を務めた長谷川榮一氏が築き上げたメ・・・