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連載

西風 481

兵庫が「恐竜王国」になる日

2021年6月号


 福井県はながらく恐竜を売りに観光振興を行ってきたが、ここにきて兵庫県も恐竜王国に名乗りを上げそうだ。
 兵庫県・淡路島で十七年前にアマチュア研究家が発見した化石が話題を呼んでいる。この化石が白亜紀に最も繁栄したといわれる草食恐竜ハドロサウルス科の最も原始的なものの一つと位置づけられ、学名を「ヤマトサウルス・イザナギイ」と命名された。英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表されたのだが、学名は淡路島が国生み神話の「日本誕生の地」とされていることにちなみ、日本の古代の倭(大和)と神話の神「伊弉諾」から名付けられた。
「ヤマトサウルス」の発見者は姫路市在住の岸本眞五氏。二〇〇四年に歯や首の骨の化石を発見した。さらに「兵庫県立 人と自然の博物館」(兵庫県三田市)の研究員が引き続き発掘、これまでに二十三点の化石が見つかっている。
 当初、ヤマトサウルスはランベオサウルス亜科と発表されていた。
 それに疑問を持ったのが北海道大学の小林快次教授で、岡山理科大学の高崎竜司研究員、人と自然の博物館の久保田克博研究員らと海外の大学研究員を含む研・・・

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