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連載

新大学評判記 第20話

「入試改革断念」という大迷惑

2021年8月号

「結局、受験生を混乱させただけで、なにひとつ有益なものを生み出さなかった」
 ある文部科学省OBはこう吐き捨てた。
 七月八日、「大学入試のあり方に関する検討会議」は、大学入学共通テストで国語、数学における記述式問題の導入と、英語民間試験の活用について「実現は困難」とする提言をまとめた。
 新型コロナの感染再拡大や、東京五輪問題のニュースに隠れてしまったが、安倍晋三政権、菅義偉政権における大きな失政である。
 同検討会議は、英語民間試験の利用や、記述式試験の導入について延期がバタバタと決まった二〇一九年に萩生田光一文部科学大臣が設置したもの。萩生田大臣は、今回の提言を受けて、正式に導入断念を表明する。検討会議座長の東京工業大学名誉教授の三島良直氏は「意思決定の仕方に問題があり、受験生に迷惑をかけた。文科省は真摯に反省してほしい」とまで踏み込んだ。
 今回、検討会議が議論していたのは二〇二五年一月以降における、記述式問題導入と民間試験活用である。約三年半後でも困難と指摘されたものを、二一年一月から導入しようとしていたのだから、「拙速」どこ・・・

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