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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》政党交付金

劣化議員への「税金贈呈」制度

2021年10月号


 政権交代可能な二大政党制の実現と金権腐敗の一掃を掲げた政治改革から四半世紀が過ぎ、改革の弱点や綻び、弊害が顕著になっても、多くの政党、政治家は見て見ぬ振りを続けている。改革の「蜜」にどっぷり浸かって抜けられないからだ。蜜とは、苦労して資金集めをしなくても、税金で懐が潤う政党助成制度である。
 政党助成の問題は四つある。
 第一に、二大政党制とは正反対の多党化を促す効用だ。
 一九九四年一月に政治改革関連四法の一つとして政党助成法が成立(施行は九五年一月)して以来、新たに生まれた政党の数は、政党交付金を受給できる「政党要件」(国会議員五人以上もしくは一人以上で直近の国政選挙の選挙区か比例代表の全国得票数が有効投票総数の二%以上)を満たす団体だけでも五十を優に超え、政治改革以前から続く自民、共産、社民(社会党から名称変更)、公明(新進党の結党、解党時に分党などを経る)各党を合わせると、約六十もの政党が存在していた計算だ。
 今年四月一日、総務省は二〇二一年分の政党交付金の決定額を発表した。百七十億二千百六十三万六千円の自民を筆頭に、立憲・・・