三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

マスコミ 業界 ばなし

2021年11月号

 TBSの決断が、放送業界を揺るがしている。同社は十月からスタートしたドラマ「日本沈没」をネットフリックス(ネトフリ)で配信することに踏み切った。TBSは従来、自社のドラマを、民放の無料見逃し配信サービス「TVer」や、自社が出資する定額制配信サービス「Paravi」で配信してきた。
 TBSは他にも新作二番組をネトフリで配信する予定で、両者の連携は本格的なものとみられている。
 TBSの決断については「ネトフリの軍門に下った」(総務省OB)という見方が専らだ。背景には、「制作費の回収がある」(業界関係者)という。今回のドラマは「NHKの大河並み」とされる豪華キャストを揃えており、ギャラが一本一億円近くかかっているとみられる。これを民放がCM収入で賄うのは到底無理。高額で購入してくれるのであれば、「渡りに舟」とばかりに、ネトフリと手を結んだものとみられる。しかし今後は、番組制作者にとって「視聴率よりも、ネトフリの再生回数が新たな指標となる」(大手広告代理店幹部)。しかも配信に視聴者が流れ、視聴率が下がれば、CM収入は減る。民放は、この負のスパイラルを避けるために自前・・・