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政治

参院選後「岸田人事」の焦点

「茂木問題」と安倍派の処遇

2022年7月号

「参院選には魔物が棲む」―。六月二十二日の参院選公示日を自民党最高幹部は暗い気持ちで迎えた。しばらく姿を見せなかった“魔物”が蠢き始めたからだ。絶好調だったメディア各社の内閣支持率が判で押したように下落し始めた。
「このトレンドに投票日(七月十日)までに歯止めを掛けなければとんでもない結果になりかねない」
“魔物”の正体は明白だ。ロシア軍のウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰と円安が引き金となった物価高だ。これまで参院選で与党側を窮地に陥れたのは消費税と年金だったが、新たに物価高が加わった。参院選に“魔物”が潜むのは衆院と異なって何があろうと三年ごとに巡って来る参院のルールに起因する。相撲に例えるなら呼吸が合わなくても、どんな不利な体勢でも立ち合いを避けることができない。今回の物価高の争点化はその典型と言っていい。立憲民主党代表の泉健太は「岸田インフレ」と連呼する。
 これに対して首相岸田文雄は物価高に対応するため当面の対策を決めた。しかし、節電に応じたポイント付与などでは物価高に苦しむ・・・