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経済

《地方金融の研究》 伊予銀行(愛媛県)

持株会社「移行」は吉と出るか

2022年11月号

 脱・銀行を志向するも、なお銀行を捨て切れず―。付けた社名の中にはそんなジレンマもにじむ。
 今年十月三日に持株会社体制に移行して「いよぎんホールディングス(HD)」を発足させ、自らその傘下へと入った伊予銀行。銀行を中核とする大半の金融グループに共通する「フィナンシャル」の名称こそ外したものの「ぎん」の二文字は残った。
 急速に進む円安の中でも依然続く日銀の異次元緩和策。「いまの金利の世界では預貸金業務に頼り切りだとほとんど利益を出せない。それ以外の分野で対価をもらえるようにしたい。銀行は柱として残るが、柱の太さを変えていくとともに新しい柱を創出していく」。選んだ社名に込めた思いを、いよぎんHD幹部の一人はこう明かす。
 これまで伊予銀の子会社だったいよぎん保証、いよぎんキャピタル、いよぎん地域経済研究センター、いよぎんディーシーカード、いよぎんリース、いよぎんコンピュータサービスと四国アライアンス証券の七社は伊予銀が保有株を持株会社に現物配当。持株会社の直接出資に切り替わった。社長は伊予銀の三好賢治頭取が兼務する。
 経営統合など再編によらず地・・・